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LOCAL感謝賞受賞に際して~内輪感と疎外感~

LOCAL » Blog Archive » 「10周年拡大版 LOCAL感謝賞」受賞者発表!

この度は 10周年拡大版 LOCAL感謝賞 という特別な賞をいただき,誠にありがとうございます.「自分でいいのか」という気持ちもありながら,皆様からのご推薦ということでしたので,謹んでお受け致しました.

以上の通り,うちの人からも雑な受賞連絡がありました.URLも一緒に張って.
 
これからもより一層がんばって...... と申し上げるべきところと存じますが,特別に力んで何かを達成したわけではなく,自分の思うがままにやっていたことをご評価いただいたものですので,これまで通りやっていければと思ってございます.
 
さて,以下では題の通り「内輪感と疎外感」に着目して自分が気を付けていることをお話しさせていただき,受賞を機に考えたことを述べさせていただきたく存じます.

火を熾す

私の受賞理由を拝読いたしますと,以下のように記載されてございます.

Ohotech、ゆるい勉強会@旭川、FuraIT など、その地域にIT勉強会がなければ作り、立ち上げたコミュニティの成長や継続について考え、実践してきた。特に富良野市で立ち上げたFuraITは後継者の中高生が育ち、地域のITコミュニティの活性化に繋がっている。若年層へのIT技術の普及、教育に熱意を持って取り組む姿勢に多数の感謝の声が寄せられた。

その地域にIT勉強会がなければ作り、立ち上げたコミュニティの成長や継続について考え、実践してきた。

今までを考えると,確かにITコミュニティが盛んではないところに住んでいながら,そういった活動に携わっていきたいと考えて暮らしてきたように思います.ただ,旭川は「旭川オープンソースコミュニティ」が少なくとも自分が高校1年生(2007年)以前からあったはずですので,これには該当しなかったな,と今になって思います.(受賞理由校正のご依頼をうけた際に見落としておりました.申し訳ありません.) それを引き継いで?ゆるい勉強会ではハッシュタグを aosc としています.ゆるい勉強会独自のハッシュタグを考えたことはありません.

www.slideshare.net

twitter.com

たぶん「旭川オープンソースコミュニティ」で検索してヒットする最古の資料が五十嵐さんの2011年のスライドなので,これくらいのときは活動があったのでしょう.
 
しかし,自分が2013年にゆるい勉強会を起こしたときには,すでにこれといった活動がなかったように思います.また,自分に権限のない名前を使うこと,オープンソースに限らず何でもOKの勉強会を開こうと思うと aosc の枠組みには入れないということからも,この形が妥当だったのかなと,後になって思います.かっこいい理由はいくらでも作ることができますが,正直,シリーズ化してやるつもりもなくて,ナンバリングしていないし,なんなら第一回は当日の00:11にイベントを公開しているので,小学生が「あしたあそぼーぜ!!!」「いいよ!!!」のノリでできた,というのが一番近い答えになります.

asahikawa.connpass.com

一方,Ohotech や FuraIT はシリーズ化して「地域で技術好きを集めて,みんなで遊ぼう!!!」を主題として始めたものです.ゆるい勉強会とは違って,ビジョンが明確です.

www.slideshare.net

Ohotech 第1回 のリンクを探しましたが,旧 ATND を使っていたために,#7 以降しか見つかりませんね...... FuraIT は最初から connpass ですので,以下の通りです.

furait.connpass.com

前回のブログにも書かせていただいた通り,自分がコミュニティを起こすのは「技術好きの仲間を集めて,みんなで技術で遊べる場づくり」のためです.しかし,田舎では「集める」ということ自体が難しく,さらに同じ技術レベルを持った人となると,こういった場自体が嫌いな人もいて,かなり厳しい戦いになります.そこで,Ohotech では並盛という名称でマウスのクリックが右ボタンか左ボタンかのレベルからでも参加できる教室形式のものも開催し,FuraIT では私の仕事がら高校生が参加して刺激を受ける会を目指してやってきました.ものづくりをする人づくり活動に力点を置いたということです.

tomio2480.hatenablog.com

そうすると,どんどん参加者のレベルも上がっていって,Ohotech のときはブログを更新するための HTML,CSS を重点的にやっていたものの,電子書籍を販売したいとかCMSを触りたいとか,他の目標が上がってきましたし,FuraIT では技術で強くなりたい高校生が多いものですから,それぞれの興味に応じて高いところまで登って行っていると感じています.
 
自分が目指したものと出来上がった場や育った人を見るに,FuraIT での達成度はそこそこよい評価を与えてもいいのかな,という気持ちになっています.

薪をくべる

これも前回のブログに書きましたが,維持することが目標になっていては,維持することも難しいと思っています.そのため,ここでは維持すること自体を課題とはいたしません.私が考えるコミュニティが抱える課題の一つは「内輪感」です.
 
内輪感で検索しますと,内輪感を脱したいとか内輪ノリを排除するとか,そういった負の印象が強い記事が目立ちます.もちろん,肯定的な意見もあるし,それを利用してうまくやっていこうという記事もありました.

内輪感 - Google 検索

どうもこの内輪ノリ,私はあまり好きではなくて,自分の所属するコミュニティにおいて,唯一自分で行動してでもなくしていきたい要素です.理由はただ一つで「安心して発表や技術に向き合えない環境を作るから」です.自分も内輪ノリとても苦手なので,こういう空気感を持つ催し物にあたってしまったときには「もう二度とこない......」とふさぎ込んでしまって内容がどうであれ,かなり後悔しますので,自分の目が黒いうちは排除していきたい所存です.
 
内輪ノリがはびこると,せっかく来てくれた人を置いてきぼりにするだけではなくて,大いなる疎外感を与えてしまうので,本当にダメだと思っています.余談ですが,私は食べ歩きが好きで,必ず外食に行くところはこだわります.私が「ここに通おう!!」と思うお店は「うるさい客を店の人が注意する」「お店の人が客と喋るときはみんなに振る」「テーブルに調味料をむやみにおいていない」を満たしているお店です.お店の人が寡黙なところは,かなり好みで自分も静かにしていていいと認められているようで本当に素晴らしいです.これだけでブログ書けるな......
 
この3つに共通しているのは,初見も常連も同じ土俵で食と向き合えることです.騒がしい若者がギャーギャー言ってる中でごはんたべたり,一緒にいる人と会話したりするの辛くないですか.初めて入ったお店で常連と店の人が無限にしゃべってる中,黙ってるの居づらくないですか.ここにはここのルールがあるとかいって,調味料をかける順番がどうのこうのとか横から言われるの辛くないですか(これはこれで面白いか.ただ,お店の人に言われたい).
 
ごはん屋さんのなかで客が作り出すコミュニティに居づらさを感じてしまうと,どうしても足が向かないんです.
 
FuraIT にご参加いただいた皆様はどうでしょうか.自分はこのあたりを注意して動いているつもりなのですが...... タガが外れないようにみんなで声かけていきましょうよ.初めて来る人には声かけしましょうよ.そのしきたりみたいなの必要ありますか.っていうのを常に考えていきたいってところです.
 
結構,高校生とか内輪感が出てきがちなので,これを大人がどう上手に扱っていくか,これが元気に見えるコミュニティの肝だと思います.どうしても,学生が集まると大人からすると嫌な感じがすると思うのですが,これを心地よいエネルギーに見せる変換を身近な大人がやってやれば,すごくいい関係が作れると思うのです.別に高校生たちだって,居づらくしてやろうって群れてるわけではなくて,居心地の良さであったり,安心感から好きなことができるようになるのでしょう.かといって,なんでもOKというわけではありませんので,そこは大人が話をしながら折り合いをつけていきましょう.
 
自分がやれることとしては,緊張感をもってもらうために「司会」「タイムキーパー」「発表」を任せるというものです.やってるのすごいね,とかじゃないんですよ.これらを任せると持ってる大きなエネルギーを内輪ノリの形成以外に使ってもらえるし,自分たちも楽なので本当に助かります.内輪ノリが出てくるときには大いなる余裕があるものです.これを少し削ってやる(鬼).でも,本当に後を任せられるようになったし,本人たちもどんどん新しいことができるようになっているのを,近くで見ていても感じるし,本当にいいこと尽くめだったなと後になって思います.
 
だからと言ってみんな発表できるわけではないので,Twitter 実況がんばってもらうとかの役割を与えるという手で攻めるもよし,初めてやってくる人が多くなればおのずと静かになる(気がしている)ので,様々な人を呼ぶという手もあります.あとは,司会とかできるようになってきた子には,初めて来た人への声掛けをやってもらったりするといいですね.群れている学生のボスと接触できれば,群れに襲撃される危険も少なくなるので.
 

暖を取る

必要とされる間は,以上のように新しい人が入ってきて,新しいことに挑戦してもらって,新しい核になる人が育ってきて...... という繰り返しでコミュニティがのびのびとやっていければいいのかな,と思っています.
 
前回のブログと重なりますが,変わっていかないコミュニティは続かないと思います.ずっと同じ人で構成されていたとしても,新しい人が入ってくると新しい風が吹くものです.時代はうつろい,技術は進歩します.どうやったら全て変わらずにいられるのでしょう.変わっていく方が自然で,変わらない方が不自然なのではないでしょうか.
 
常にうつろいゆくコミュニティであれば,内輪感が色濃くなって,新しく来た人が疎外感を感じるなんてこともないのでしょう.コミュニティなんてのは人が集まるものですから,必ずしもこれでうまくいくとは思いませんが,心地よく安全な居場所として機能すれば,関わるみんなが優れたパフォーマンスを発揮してくれるのではないでしょうか.北海道のITコミュニティがこれからもさらに活気づいて,たくさんの人が魅力ある技術の世界に足を踏み入れられますよう,ご祈念を申し上げて挨拶とかえさせていただきます.
 
改めまして,この度は本当にありがとうございました.
 
皆様に素晴らしい 2019年 が訪れますように.

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ふらのワインハウスから十勝岳を眺めるとこんな感じですよ

余談

LOCAL感謝賞 2012年度 Ohotech
LOCAL » Blog Archive » 2012年度 LOCAL感謝賞

LOCAL感謝賞 2014年度 tomio2480(個人)
LOCAL » Blog Archive » 2014年度LOCAL感謝賞

LOCAL感謝賞 2017年度 北海道富良野緑峰高等学校 工業クラブ
LOCAL » Blog Archive » 2017年度LOCAL感謝賞発表

LOCAL感謝賞 10周年拡大版 tomio2480(個人)
LOCAL » Blog Archive » 「10周年拡大版 LOCAL感謝賞」受賞者発表!

こうやって見ると,自分が携わってきたことで賞を頂く機会が多く,もうそろそろ明確な世代交代が必要です.北海道のITコミュニティに参加者としては9年,コミュニティ運営サイドとしては7年近くですか,携わってきたことになります.なんというか,手癖でできるレベルにまでなってきて,手練れの領域に近づいてきたのかなと感じています.
 
この賞の話をいただいたときも,自分ばっかり出ていては内輪感が出て,賞の価値を下げてしまわないか非常に不安でしたが,これを機にこういったお話をさせていただけるのであればよいのかなと思い,謹んでお受けいたしました.
 
2019年からの北海道は楽しみですよ.次の世代も頼もしいですから.