最近はおしゃれ URL の Web サイトも増えましたね,自分たちもカンファレンスなんかをやるにあたって,おしゃれ URL で Web サイトを持ってアピールしたいものです.
特定の属性の組織や会社に限定されていないトップレベルドメインのことを,gTLD と書いて「ジェネリックトップドメイン」というようです.おしゃれな凝った URL の末尾についている .なんとか というのは,大抵がこの gLTD に当たるのではないかと思います.
よく知らないでおしゃれ URL いいなとか言って,おしゃれドメイン名を取得しちゃお!みたいな感じでしたが冷静になると,このおしゃれ gTLD は一体どこの誰が運用しているものなのかな? 立ち止まって調べてみるか,という気持ちになりました.
またそれに関連して,そもそもドメイン名を取得するとはどういったことなのか.ここも改めて簡単に把握しておくといいなと思ったので,メモに残しておきます.
レジストラ
たとえば tomio.info のようなドメイン名を取得するときには,まずそのドメイン名がすでに取得されていないかを確認する必要があります.ドメイン名を取得するサービスの Web サイトには,大抵,検索窓がついていて,そこに「tomio」みたいな感じで入力すると,どのトップレベルドメインのドメイン名が取得可能かどうかを知ることができます.
domain.sakura.ad.jp
www.value-domain.com
www.identity.digital
ということは,同じドメイン名だとしても,取得に係る契約をする会社が必ずしも一つに定まらないことがわかります.ものによっては一箇所でしか契約できないものもあるかと思いますが,特定の属性の組織に限定されていたり,特定の会社に紐づいているなどして,一般に取得できないものでない限りはいろんなところでドメイン名の取得ができそうです.
このドメイン名の取得作業を行ってくれる事業者をレジストラと呼び,各国様々な事業者がレジストラ業を行っているようです.
レジストリ
このドメイン名をめぐって,レジストラという言葉と同時に,レジストリという言葉も登場します.レジストリは .info などのトップレベルドメインごとに一元管理を担う運用事業者であり,様々なトップレベルドメインを含む,ドメイン名の登録をするレジストラとは全く役割が異なります.
www.nic.ad.jp
トップレベルドメインごとに運用事業者がいる理由は DNS という仕組みにあります.たとえば cybozu.co.jp だとすると,ルート → .jp → .co.jp → cybozu.co.jp という順に問い合わせが行われて,最終目的地に辿り着きます.
www.nic.ad.jp
おしゃれ gTLD にも運用事業者がいる
かつては,限定的だったトップレベルドメインも,2012 年あたりを境に要件を満たせば,自由に作り出すことができるようになりました.日本では .tokyo などが 2014 年あたりから目立つようになりました.
それまでレジストリは ICANN という非営利法人が一括して行っていたものの,自由に登録できるようになったため,gTLD ごとに登録管理業者が現れることになりました.
www.value-domain.com
つまり,それまでは硬派な少ない選択肢の中からしか,トップレベルドメインを選べなかったのが,自由にトップレベルドメインを作り出し,ドメイン名をもっと豊かなものにしてくれるという話で,表現の面からはいいことづくめのように感じます.
しかし,数が少ない点にもいいことはあって,よくも悪くも ICANN が管理を行えていたために,運用事業者がきちんとしているか,あるいは怪しいかの判定をトップレベルドメインごとに判定する必要がありませんでした.
IANA のページでその事業者の一覧を確認することができます.
www.iana.org
Web 上に情報のない事業者が gTLD を管理している?
実のところ自分は .run を含むドメイン名をおしゃれだなぁと取得しようとしてました..run のところを見ると「Binky Moon, LLC」と書かれています.この組織が .run を管理しているようです.
しかし,Google で検索しても公式っぽいページに辿りつきません(自分の英語力の低さゆえに見つけられていないだけ,ということはは大いにあり得る).そして,検索結果の中にこんな記事を見つけました.
www.nimblemachines.com
Google 翻訳して流し見た感じだと,大量の gTLD を登録申請している怪しい輩がいるぞ,しかも,ひとつの会社なのに,いろんな組織名を使って大量に申請しているぞ,という話が書かれています.これが本当かどうかは検証までしていませんが,そういうことは十分に考えられるなと思いました.
実際,トップレベルドメインの管理が甘いと,自身の持っているドメイン名が機能を果たさなくなる可能性があります.ここの運用事業者がいい加減だと詰むので,このレジストリが信用できるかどうかは極めて重要です.
実際はそんなに心配しなくてもいいのかもしれないけど,おしゃれだ!って理由だけでこんなリスクを背負うくらいなら,Traditional な昔からある .info とかにしておくのが無難そうな気持ちになりました.
Google が作った新 gTLD 群は、なにかしら続ける気あるんですよね? みたいな話をしていた
— Dai MIKURUBE (@dmikurube) 2023年6月16日
こんなツイートもあって,たしかに Web サービスの感覚でポンとやめられてしまうと,それまでの資産が一気にダメになるよなという感じがします.ドメイン名は永遠に面倒見るつもりで取得しなさいと言われますが,取得者が永遠に面倒を見るつもりでも,レジストリが面倒を見るつもりがなければおしまいですよね.
深追いはしてないので記事としてはここまでです.このあたりについても詳しくなれたらいいなと,やりもしない勉強に思いを馳せています.