積極的にメモっていく姿勢

題名詐欺。更新頻度の低さが売り。

自分は勉強会を勉強するために開くのが好きらしい

この前福岡でこんな発表をしてきました.

www.docswell.com

自分は結構 DevRel とか技術広報の人に(誤解を恐れずにいうと)間違えられることが多いです.カンファレンスやコミュニティに無限に顔を出すし,会社のブースで道産の置物として展示されてたりするので,そういう役割を担う人と思われても仕方がない気もしますが,そこを主としたいわけじゃないです.

 
あくまでも知見が広がっていくことや,ITエンジニアを目指している人が勉強して業界に近づいていける環境構築と維持を目指すのであって,何かのアピールや人とのつながりを利用して利益を得るとか,そういうことに専門性を見出したいわけじゃないです.別にどこの会社だけが魅力的とかもないじゃないですか.どこもいいところですよ.

ビジネスとかそういうのに魅力を感じていない

自分の人生を見返してみてもわかる感じがしますが,民間企業で働きたいと思ったことがないです.なぜか今は民間企業にいるけども...... 特定の人に閉じた貢献というか,そういうのが好きではなくて,公務員のほうがしっくりくるなと思っています.実際,大学卒業後 6 年間は公務員,みなし公務員の立場でお給料をもらっていました.今も儲かるからとか市場があるからとかそういうのとは無縁になりたいと思っています.正直ノイズでしかない.
 
しかしこの考え方は,資本主義社会ではそう上手くいかないのかなとも感じています.実際,デカカンファレンスも自社製品を支える OSS が盛り上がってほしいから,とかそういう理由でスポンサーしてお金を出してくれるからこの規模でやれているというものもたくさんあるし,悪い面ばかりじゃないなとは思います.こういう力のかかり方も大事なんでしょうね.

なぜそういう姿勢,考え方になったのか

思い返せば,地方でコミュニティをやってきたのがデカい気がします.勉強会やコミュニティをやっているときは,でかいビジネスにしてやろうとか,会社を作っていい金額で売り抜いて儲けてやろうとかそういう発想がなかったです.それ以上に同じ技術で話のできる仲間が欲しいとか,この地域でも当たり前に技術の話ができる環境がほしいとか,そういう動機で動いていました.たしかにお金あるのもいいですけど,お金以上に仲間が欲しかったんでしょうね.
 
もっと昔話をすると,高校生の時にでた全国大会で優勝目前で敗れたときに,自分は最前線では戦えない人間なんだ,教育側に回って恩返しをした方がいいんだろうなぁと言い訳をして,大学進学の理由をそこに求め,学校教諭を目指したことも大きいです.これは業界全体の技能レベルを一番前で引っ張っていけない人材である自分に,どこかの企業が投資をするなんてあり得ないという発想です.ここの時点で企業所属はないなというスタンスが作られていたようにも思います.
 
このへんの話は「工業教育 2017年5月号 p.p.12-15」に寄稿した記事がちょうどいいと思いますので,めっちゃ読みたい人は国立国会図書館の関西館にあるらしいので直接行くか,遠隔複写を頼んで読んでみてください.

ndlonline.ndl.go.jp

DevRel とか技術広報じゃないと主張する軸は何か

コミュニティや勉強会をツールとして使う,という点においては自分も DevRel や技術広報のみなさんと同じかなと感じています.もちろん,研究対象としても面白いのでツールと割り切りすぎるのも,つまらないなと思います.こういうのも面白いですよね.こんなことを言いながら,自分は学士(工学)で止まっているのでインチキもいいところですが......

www.u-tokyo.ac.jp

特に自分は先にも述べたとおり「技術を学べる環境構築と維持」のために勉強会があってしかるべし,カンファレンスが開かれるべし,コミュニティが盛り上がるべしと考えています.であれば,これを維持するためにビジネスとかにしたらいいんじゃないの? みたいなコメントも来そうですね.上手くやる人はそれで上手くやれるのかなと思いますが,自分はできる気がしていません.  

DevRel

今の仕組みでいえば DevRel として自社製品を推すことをねらってカンファレンスとかに入っていけば,会社の売り上げとかに貢献できて Win-Win じゃないか,何がダメなんだと思われるかもしれません.自分はそこ上手くやれる気がしていません.やりすぎると囲い込みみたいになって,偏った情報が一部に流れ,真に技術に向き合うことができなくなるんじゃないかと不安です.
 
まあこれは OSS ほかも,詳しい人が近くにいると情報が偏るという点においては変わりないのですが,給料をもらうためにわざわざそれを引き起こすこともないよなと思っていて,DevRel は自分にはできないだろうなと思っています.そのへん丁寧にコミュニケーションとってやってる方も知ってはいますが,素行の悪い人が目立つのか,自分の見える範囲の人にそういう人が多いのか,なぜか悪い印象が自分の中に存在しています.

採用,技術広報

じゃあ採用とか技術広報とか何がダメなのとも言われそうですが,やっぱりこれも囲い込みなのかなと感じています.たまに,ガッチリ学生を囲い込むぞみたいな,本当に素行の悪い企業イベントとかを目にしますが,あれは本当に業界のためになっているんでしょうか.甚だ疑問です.
 
もちろんないよりある方が業界と学生の距離も近づいていいんでしょうけれども,そういうカルト的なやり方を認めてしまうと,業界内で協力する素地が崩れるばかりか,学生本人にとっても楽な判断で人生を進められてしまう,よくない機会になるように感じています.
 
本来なら,自分の手で集めた情報を元に判断して,悩み悩んで人生を一歩進める機会として絶好のチャンスである就職や進学の機会において,外部から決定を渡すのは極悪非道と言ってもいいくらいいけないことだと思います.そういう進路指導をして自分の実績を稼ぐ教諭もたまにいますが,あれは終わりです(免許返納!!!!

toyokeizai.net

一応言っておくと,採用はともかく技術広報はそこまででもないので嫌悪感は少ないですが,"広報" が嫌なんでしょうね.自分は自社も他社も平たく同じレベルの情報として取り扱って,いい感じにしたいので,自社を持ち上げるみたいなこととか,自社情報をよく見せるとかそういうのが無理です.
 
そもそも勉強会だというのなら,参加者が採用や広報の手によって限定されるっておかしな話で,わざわざ閉じる意味がわからないというのが正直なところです.採用面談とか説明会単体でうまく集客できないから,ツールとして勉強会や LT 会を使おうという発想はわかるし,公開でやってくれるならまだいいなと思うのですが,そこを限定にして囲い込むという発想は特にキツい.
 
知識というのは広い範囲に共有してナンボだと思っていて,曲解かもしれませんが,以下の記事の登さんがおっしゃっている「才能の私物化」を助長する動きだとさえ思います.

logmi.jp

プログラミングスクール

じゃあ,DevRel も採用も技術広報もだめなら,教育の軸で考えてプログラミングスクールとかもあるじゃないですか,というコメントも来そうですね.プログラミングスクールとかの状況を見て,真に貢献的にうまくやろうとしているところ,どれくらいありますか? みたいな気持ちになります.
 
マネタイズを上手にやって,業界のためにもなっているところもありますが,情弱搾取待ったなしのヤバいところもめちゃくちゃあるなと思っていて,そんなものが簡単にのさばっていける市場で正気を保つのは無理だなぁと感じています.

0 人開催どんとこいマインド

CoBaLT Vol.01 サマーサミット with 茶会 の様子
少ない人数でも勉強会をしよう

改めて書きますが,自分がカンファレンスや勉強会に力を注ぐのは,純粋な興味を大事にして,その熱量が生み出す何かを見たいという気持ちが軸です.似たような話で DeNA の南場さんが情報オリンピックの PR 誌にすばらしい記事を書いて下さっています.みんなこれを読んでほしい.
 
自分が勉強会やコミュニティに力を注ぐのは,自分たちの利益の条件付きの応援ではないです.かといって無条件に協力するわけでもないです.特定の何かに利益が集中しないことが条件です.技術に向き合う理由は人それぞれですが,技術に向き合う姿勢とやりとりをみんなに見える形でやるのなら,大抵の場合,公益的な勉強会になると思います.情熱の応援でみんなのためになるなら,それが一番いいなと.
 
全国各地にはたくさんの IT 系勉強会があります.特に記事が集まった 2019 年のアドベントカレンダーのリンクを置いておきます.

adventar.org

全国でこうして広くみんなで知見を共有していきましょうという人々がいます.一部,企業の利益その他を追求して活動している人もいるのかもしれませんが,多くはボランタリーな活動です.熱量以外に説明のつかないこの活動に寄り添って,技術と楽しくやっていける世界が見たいです.
 
最後に,マジで何百回も紹介している最高の記事があるので,こちらのリンクを張っておしまいにします.自分はこの記事に幾度となく励まされ今に至ります.

note.com